龍神様との恋愛事情!



 それからというもの、私は以前よりも一人で塒山に登るようになった。


「白龍様!こんにちは」


「今日もうるさいな」


訪ねるといつも社殿の屋根か鳥居の上に寝そべっている白龍様。

挨拶すると「うるさい」とか言われるけど、白龍様なりの挨拶なんだって最近気づいた。


「お昼、一緒に食べて下さい!今日は私が握ったんです」


今は丁度昼時。

社殿から降りてきた白龍様に私は握り飯を差し出した。


「俺は人間の食い物は食わん」


「食べないんですか…?」


白龍様にも食べて欲しくて張り切ったのにな…。

私はガックリと肩を落とした。


「………」


「………」


無言でこっちを見つめてくる白龍様の瞳を、ジッと見つめ返す。


食べて欲しいな…。

食べてくれないかな…。


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