龍神様との恋愛事情!
「うん……すぐ忘れちゃうわ。徘徊(はいかい)癖もひどくなってるし…」
お母さんも辛そうな表情だった。
「そう…か…」
掠れたおじいちゃんの声が虚しい。
心にズキリとくる。
「また…話してぇなぁ」
おじいちゃんの小さな願い。
ささやかな、でも、とっても大切な望み。
この時、おばあちゃんが若い頃のおじいちゃんの写真を見て泣いていたことを私は思い出した。
――誰だかわからないのに…なんか、苦しくなっちゃってね…
泣きながら、そう言ってた。
おばあちゃんだって、きっとまたちゃんとお話したいよね。
けど、おばあちゃんの認知症は治らない。
緩やかに進行していくばかりで、回復の見込みはないって医者からも言われてる。
もう老い先、決して長くはないだろうけど…このまま人生の終焉を迎えるなんて、私は……見守ってる私は耐えられないよ。