ペラルゴニウム〜世界で一番君たちを〜



一人目を出産する時、あなたは仕事で来られなくて。
たった一人で挑んだ初めての出産。


陣痛は思った以上に辛くて。
寒気と吐き気との戦い。
もうすぐ我が子に会えるから頑張る!なんて、そんな思考も出て来なかった。

ただただ、必死だった。
色んな体制になって、一番楽な姿勢を探したのに、全く楽にならない。


四つん這いは楽だった。
あぐらは楽だった。
色んな人の色んな言葉を思い出したけれど、ことごとく打ち砕かれた。


分娩室で、真夜中に叫び続けて喉が枯れたの。
お腹からは我が子が頭を出す。
なかなか出てこなくて、たくさんいきんでるのに、それこそなかなか出てこなくて。

今でも、あれは人生で一番痛かった思い出第一位。



けどね。なんだろうーー
我が子が産まれて、大きな声を上げて泣いて私の腕に来た時の、あの気持ち。


当たり前だけど、小さくて。
猿みたいにシワシワの我が子を見て、イケメンだなーと思った。
可愛くて離したくなくて、そしてとても愛おしかった。




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