揺れる恋 めぐる愛
「おはようございます……」

ドアを開けると、主任はデスクにいた。

「藤木くんおはよう」

仕事は少しわかってきたが……

この微笑みに迎えられることには慣れなかった。


歩きながら目礼だけするとそのまま自分のデスクについた。

「おはようございます」

「おはよう、藤木さん。あれ、誰だって勘違いしちゃうわよねぇ~。

でもお客さんの所に行っても同じだからぁ~。

私くらい一緒に働くと目の保養にすらならないけどね」

先輩が伝票をこちらに渡してきた。

「そうなんですね」

受け取りながら頷いた。

「素敵な部下達に微笑んで文句を言われるなんて、俺って気の毒だなぁ……」

主任がいつの間にか歩いてきてこちらに向かって話しかけきた。

「そんなこと露ほども思ってもない癖に……

まあ、藤木さんは新人で可愛いから彼女に対しての気遣いでしょ?」

「藤木君だけじゃなくって、毎日課に潤いを与えてくれる

木口さんももちろん可愛いですよ」

「ほんとうにぃ~、どの口が言ってるんだか……

何かお願いでもあるんですか?」

「さすが察しのいい……

今日、後輩の藤木さんを借りたいんだけど大丈夫?」


「ええ。そろそろかもと思っていたので、どうぞ」

渡したはずの伝票を先輩がデスクに引き戻した。

「ありがとう」

「お礼はぜひ今度合コンで……」

「了解。じゃ、藤木君行こうか?」
< 12 / 110 >

この作品をシェア

pagetop