揺れる恋 めぐる愛
「子どもの頃、こんな自然の多いところでよく遊びました」

「そうなのか」

「はい。久々にその頃を思い出しました。懐かしい思い出です」

「俺にも……

そんな時代はあったな」

「毎日仕事仕事で、疲れていて……

ありがとうございます」

「ああ」


「ところで、その頃お前は野山を駆け回るような……

奴だったのか?」

「いえ。一応これでも女の子なので、そんなに激しい遊びはしてません」

「してみたいと思ったことはあるだろう?」

「確かにリーダーの子は木登りしたり、男の子と張り合っていましたけど、

私には無理だから……」

「じつはこっそり登った。でも降りられなくなって……

通りすがりの大人に助けられてから、二度としなくなった」


私はびっくりして、目を見開き思わず主任の肩を掴む。

ビリっと手に嫌な刺激が伝わってくる。

まただ……

なんでこの人に触れるとこうなるのだろう……


「なんでそんな昔の事知ってるんですか?」

「ふっ。なんでだろうな?」

主任は、振り向いて意地悪な笑みを浮かべている。

「主任って……

やっぱり変ですよね?」

私は睨みつけたが、主任は口の端が上がったままだった。

どうしてこの人は私を挑発するのだろう?

でもこれ以上聞いても答えは返ってこない。ただの無駄だ……

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