love letter~章吾~

先生の声が遠くから聞こえてくる。

尾関のことなんか関係ねぇし、と、無関心を装う。



「さっき倒れて、翠川くんが保健室に連れて行ってましたぁ」



どこからともなく、そんな声が聞こえてくる。

そういえば聡、まだ戻ってきてねぇな。

あんなバカのことなんか放っておいて、さっさと戻ってくりゃいいのによ。


先生は「そうかぁ」と言いながら、再び出席簿に目を落とす。

次に出欠の名前を呼ばれるのは俺の番だ。

先生はすぐに俺の名を呼ばずに、少し考えるような顔つきで俺をじっと見た。


……なんか、すっげーヤな予感がするんですけど。



「笠原」

「はい」

「おまえ、翠川を呼んで来い」

「はぁ!?どうしてですか?つか、なんで俺?」


< 25 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop