love letter~章吾~
「はぁぁぁ?俺は尾関のことなんか好きじゃねぇぞ。なに勘違いしてんだ」
「だってキス……」
「してねぇっつってんだろ!」
「マジで?」
「おまえに嘘ついてどうすんだよ」
真剣な顔で、聡は尾関とのキスを否定する。
あー……。この顔は嘘をついていない顔だ。
やっぱ、俺の勘違いだったんだ。
髪の毛一本でも、抜くときの格好はそれぞれなわけで。
聡みたいに顔を近づけて抜くヤツもいるってことで。
「なぁ、この髪の毛はどうすんだ?」
一度は俺の手に渡った髪の毛。それを返された聡が途方に暮れる。
「そのへん捨てとけよ。もう必要ねぇし」
「なんだよ。苦労して手に入れたのに」