幸せをくれた君に
いつもの常套句。
いつもの意味ありげな笑み。

俺に興味がありそうな女はこれで落とせる。

恋愛感情なく本能だけの関係。

俺が必要としているのは、それだけ。




一足先に出た外は、幾分、暑さがゆるいだとはいえ、まだまだ身体にまとわりつくような嫌な湿気だ。

(外で待つと言ったのは失敗だったかも)

なんて思いながら、俺は店の周囲を見渡し、女を待てる場所を探す。


ずっと我慢していたタバコに火をつけ、店の前にある長椅子に腰をかけようとしたとき、俺は、そこに先客がいることに気づいたのだ。



肩くらいまでのウェーブがかった茶色の髪の女。

ナチュラルなメイクが、違和感なく彼女のもつ空気によく似合っていた。

彼女が、さっきの合コンにいたなかの一人だと気づくまで、たいして時間はかからなかった。
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