光の思い出 - happiness&unhappiness -
「……今さら謝ったって、許してやらないんだから」
「許さなくていいよ。有美を傷付けたことには変わりないから」
震えた声で悪態をつく私は、孝太の目にどう映ったのだろう。可愛げないやつだろうね。
でも孝太が最初に悪かったのだから、これくらい許してほしい。……っていうか、許して当たり前だっつーの。
耳に届くクリスマスソングが、少しだけ背中を押してくれている気がした。
「……あんた、透子のことは傷付けないでよね。傷付けたときは友達代表として、あんたのこと殴りに行くから」
「それはこえー! ……つうか、なんだ、気付いてたのか」
おどけたあとに孝太の目が丸くなって驚く。
喋るたびに飛び出すお互いの白い息。それが2人の間で濃く重なって、何だか孝太の存在を遠ざけているみたい。
「気付くに決まってるでしょう。2人とも気持ちなんてバレバレなのよ」
「じゃあ、期待してもいいってことなんだな」
嬉しそうに目を細める姿を見て、「ほんとに殴りに行くから」と、どす黒い声でそう付け加えておいた。浮かれすぎていて何だか信用性がない。
透子は透子で昔の私みたいに完全に孝太の見てくれに惚れてるだけだし、何だか危なっかしいし。どうなることやら、この2人。
「……ありがとな、有美」
「何がよ」
ざわめきとクリスマスソングの中で、孝太の優しい声がそう言った。
聖なる夜。
消したくない思い出と、悲惨な記憶と、これからの期待を込めて。
――メリークリスマス!
End


