光の思い出 - happiness&unhappiness -


「……今さら謝ったって、許してやらないんだから」

「許さなくていいよ。有美を傷付けたことには変わりないから」


 震えた声で悪態をつく私は、孝太の目にどう映ったのだろう。可愛げないやつだろうね。

 でも孝太が最初に悪かったのだから、これくらい許してほしい。……っていうか、許して当たり前だっつーの。

 耳に届くクリスマスソングが、少しだけ背中を押してくれている気がした。


「……あんた、透子のことは傷付けないでよね。傷付けたときは友達代表として、あんたのこと殴りに行くから」

「それはこえー! ……つうか、なんだ、気付いてたのか」


 おどけたあとに孝太の目が丸くなって驚く。
 喋るたびに飛び出すお互いの白い息。それが2人の間で濃く重なって、何だか孝太の存在を遠ざけているみたい。


「気付くに決まってるでしょう。2人とも気持ちなんてバレバレなのよ」

「じゃあ、期待してもいいってことなんだな」


 嬉しそうに目を細める姿を見て、「ほんとに殴りに行くから」と、どす黒い声でそう付け加えておいた。浮かれすぎていて何だか信用性がない。

 透子は透子で昔の私みたいに完全に孝太の見てくれに惚れてるだけだし、何だか危なっかしいし。どうなることやら、この2人。


「……ありがとな、有美」

「何がよ」


 ざわめきとクリスマスソングの中で、孝太の優しい声がそう言った。

 聖なる夜。
 消したくない思い出と、悲惨な記憶と、これからの期待を込めて。


 ――メリークリスマス!



End


< 13 / 13 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ここで息をする
秋野桜/著

総文字数/115,213

青春・友情151ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
息をする 私が好きな、この場所で 。゜°。゜°。゜°。゜°。゜°。゜°。 息苦しくなるぐらいなら いっそ嫌いになる前に 手放してしまいたかった だから逃げたはずなのに―― 「好きなら、大事にしろよ」 あなたが映すその世界で 私はやっと、本当の自分に 出会えたのかもしれない 。゜°。゜°。゜°。゜°。゜°。゜°。 好きなものを手放した少女 × 好きなものに一直線な少年 息継ぎをして、目を開けよう 淡く透明な青の世界を 自ら進んでいくために 2016/06/05~ open 2018/09/02
きみだけのメリー・プレゼント
秋野桜/著

総文字数/16,367

恋愛(純愛)22ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
サンタさんには用意できない たった一つの特別なプレゼント きみがくれるだけで 特別な贈り物になるんだ クリスマスにまつわる 2つの特別な物語を詰め込みました \ハッピーメリークリスマス/ 2021/12/25 公開・完結
雨音に隠した残酷
秋野桜/著

総文字数/10,603

恋愛(その他)18ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
冷たい静けさを含み 嘲笑うように強く 音を立てて降る雨に紛れて 彼は、泣いているようだった 2014/05/31~2014/06/16 *Thanks for review!* 永以真子さん

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop