迷惑なイケメンに好かれました。
そう言って持田が切なげに笑うから、
柄にもなく寂しそうにするから。
何とか思い出したい、そう思う。
だけど焦れば思い出す、というものでもなくて。
「ごめん、分かんないや…っ」
申し訳なさそうに目を伏せれば、彼の大きな手が雑に私の頭を撫でた。
そして、その手はそのまま私の頬へと降りていき
「…俺の話、聞いてくれる?」
人気がなく、静かな砂浜。
なのに押し寄せる波の音に呑み込まれそうなほど、小さな声で私に問いかけた。