Music Art Fair

ティル編

 こんにちは。僕の名前は香山雪乃です。将来はピアノでご飯を食べたいと思っています。
 僕の家族は芸術一家です。だからか、皆ちょっと変わっています。家族とも芸術家ともちょっと違うんですが、今日は家族の中で一番強引な伯父のティルを紹介します。



 ティル伯父さんはお父さんのお兄さんです。冒険家をやっています。
 僕の家族は僕以外皆家を出ているので、心配だとお父さんが呼んで一緒に暮らしています。伯父さんは冒険家なので暫く僕と一緒に暮らしてお金を貯めて、お父さんとかが帰って来たら冒険に出ます。
 ついこの間、伯父さんは富士山を何も持って行かず頂上まで行くと云う冒険をしました。僕は伯父さんが死ぬんじゃないかと思いましたが、伯父さんはちゃんと帰って来ました。今度は南極まで泳いで行くそうです。
 伯父さんはとってもサバイバルです。一緒に暮らし始めた時は、この平和な日本で獣を狩って生きようとしていました。
「雪乃、猪が掛かったぞ!」
 と、この通り。僕はその夜、猪のグロテスクさと動物愛護団体の方が怒鳴り込みに来るんじゃないかと怯えていた事を覚えています。
 そして僕が宿泊研修に行く日の事です。
 僕はキャリーバックに荷物を詰め込んでいました。でも、伯父さんは僕より多い荷物をバックパックに詰め込んでいました。
「伯父さん――?」
 僕が呼び掛けると、白い肌を剥き出しにして伯父さんは笑います。
「ちょっと南極の準備に北海道まで泳いで行くか試してくる。」
 僕は勿論頼みました。伯父さんに止めるようにって。でも、伯父さんは笑って言うんです。
「大丈夫。雪乃が帰るまでには帰って来るから。」
「伯父さんが死んじゃいますよぉ!」
「人間の身体はそんなに柔じゃない。」
 そう言って伯父さんは僕の反対を押し切って旅立ちました。結果がどうなったかは、皆さんの想像に任せます。ただ、伯父さんは南極まで泳いで行くと張り切って準備を始めているようです。
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