雪の足跡《Berry's cafe版》

 数年ぶりの旅行、僅か数時間で引き寄せられるように八木橋と私は出会った。たった数日で恋に落ちた。結ばれた。そして母は再び私をあのスキー場へ連れて行った、父が行けと言っている、と。レッスン代を取りに行けば帰り道を事故で阻まれ誕生日を一緒に過ごした。そしてお礼をしなさいと母に再び向かわされた日には手作りチョコを渡した。まるで何かが私と八木橋を結び付けるために働いてるみたいで。もし、本当に、運命とか赤い糸があるなら、それを指すのだと思う出来事ばかり。

 5時間近く掛かってようやく母の手配してくれた旅館に着いた。時計は23時。手続きを済ませて部屋に入る。もう既に布団も敷かれていて浴衣に着替えてそこに潜る。ここに来たのは誰の計らいでもない、運命でもない、私の意志でやって来た。八木橋に“覚悟”が出来た事を伝えるために。






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