雪の足跡《Berry's cafe版》

『俺、洗うよ。爪、傷が付くんだろ?』
『たった3日で……俺、軽い、か?』



 あの時と同じシチュエーション、同じような台詞。でも後ろから抱きしめてはくれない。


「雪のピアス、気に入らなかったか?」
「ううん。キラキラして綺麗で」


 八木橋は気付いてたんだ、私が雪のモチーフを避けていたこと。


「お前、なくしたんじゃねえのか?」
「え……」
「そうなんだろ? 俺、一生懸命選んだのになあ??」


 八木橋は、酷い女~っ、と横目で私を見下した。


「ちゃ、ちゃんと取ってあるわよっ」
「へえ。本当かよ?」
「あーたり前でしょ! 今、見せてあげるっ」


 私は沸かしていた火を止め、キッチンを出た。ズカズカと階段を駆け登り、部屋に入った。棚から水色の小箱を取り出す。大体、八木橋が嫌そうな顔するから避けていたのに。気を遣って辞めていたのに。


「……」


 ずっとしまいっ放しだった雪のピアス。窓からの日差しを受けて輝いている。それを手に取り、耳に留める。宝飾店で不器用にピアスを物色する八木橋の姿が目に浮かんだ。


「へえ。ここがユキの部屋か?」
「ヤ……」


 振り返るとドアの所に八木橋が立っていた。

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