雪の足跡《Berry's cafe版》

「どした?」


 心配そうに私の顔を覗き込む。私はその写真を渡すと八木橋は眺める。


「まだ赤ちゃんがよく見えないから来週も来てって」
「え?、大丈夫なのか??」
「ほら、排卵日が遅れてたからまだそういう時期じゃないみたい」


 ああ、そうか、と八木橋はホッとしたみたいだった。


「でね、この点みたいなの」


 私は八木橋が持っている写真に指先を置く。


「ああ」
「これが赤ちゃんかもしれないって……」
「ええっ??」


 八木橋はその点を黙って見入る。じっとじっと見つめる、穴が開くかと思うくらいに。しばらくして八木橋は、これが、これが……?、と何度も呟く。うん、そうみたいよ、と私は肯定した。点を見ていた八木橋の瞳が揺らいでいく。


「ヤギ……」


 八木橋は片手を口元に当てる。何度もその手で顎を擦る。受付から名を呼ばれ、私は八木橋から離れて会計をし、次回の予約をした。病院を出て八木橋の車に乗る。

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