雪の足跡《Berry's cafe版》

 その間、ずっと私の泣き声を聞いていたんだろうか。言葉も無い私の泣き声を。

 八木橋は私に、体は大丈夫か?、何か処置とかあるのか?、と体の心配をしてくれた。少し落ち着いた私は、医師の説明を繰り返した。


「コユキは……」


 八木橋が言いかけた。


「コユキ?」
「コユキはきっと戻って来るから」
「戻って、来る?」


 今はまだ早かったから出直して来るんだ、無くなったんじゃねえから、と言った。


「ヤギ……。そうだね、コユキはきっと戻って来るよね」


 当たり前だろ、アホ、と八木橋は笑う。


「ねえ、女の子なら本当にコユキって名付けるつもり?」
「悪いか??」
「父のことスキー馬鹿って言って、自分だって馬鹿じゃない。小さい雪でコユキ?」


 ダサいな、やっぱりダ埼玉人は、とからかわれた。


「小雪じゃなかったらなんなのよっ」
「……笑わないって約束するか?」


 するわよ!、と返事する。

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