雪の足跡《Berry's cafe版》
「悪かったよ」
「何が」
「支えてやれなくて。仕事を辞めることとか親を一人にすることとか、俺、焦らせただろ」
あの時はそう言った。それも無かった訳じゃない。でも本当は違う。
「……ち、違うの」
八木橋は私を必死に支えてくれてた。
「また流産するのが怖かった。私じゃなくて元カノとか他の女の子の方がヤギも幸せなんじゃないか、って。沢山の子供に囲まれた方が幸せなんじゃないか、って……私じゃ産めないかもしれないって……」
「アホ。そんなことで」
「そんなこと?、そんなことじゃない! 子を授かれないことがどんなに」
「違うよ」
「何が」
それだけで分かれよ、と八木橋は自分のケーキを食べ終えると手を伸ばして私のケーキを取り上げた。
「ちょ、ちょっと!」
「なんだ、食うのかよ」
「当たり前でしょ」
ケチケチすんなよ、俺のお祝いなんだろ?、と八木橋はお構い無しに私のケーキを食べはじめた。近くを通るスタッフに追加のケーキを注文する。
「俺、分かったとは言ったけど、別れるなんて言ってねえし。それに……」