雪の足跡《Berry's cafe版》
その後、八木橋さんは無言だった。2本目のリフトを降りるとコースは二手に別れる。
「右は林間迂回コース。左はコブ斜面」
迂回コースは緩斜面の初心者用、コブは30度近い急斜面。当然上級者。
「下のゲレンデだと他のインストラクターがウジャウジャいる。サボってるのバレると面倒だから、スクール終了時間まではこのロマンスリフトで滑ってて」
「はい」
そして八木橋さんはゴーグル越しに私の足元から頭のてっぺんをゆっくりと舐めるように見ると、突然鼻で笑った。
「まさかその格好で緩斜面はないよな??」
「え?」
「それ、ニューモデルだろ、全部」
「はい」
「その板で初心者コースをボーゲンで滑ったら板が可愛そうだぜ?」
八木橋さんはクスクスと肩を震わせて笑いはじめた。
「形から入るタイプ?」
私は笑われてムッと来た。携帯を壊して申し訳ないと思い、下手に出てたのに、元カノの画像を消しちゃって悪いと思ったのに。それよりも5年勤めた自分へのご褒美の板とウェアを笑われて腹が立った。
「じ、時間までここで滑ってればいいんですよね?」
私はその左のコースに板を向かわせた。ストックを雪面にグサッと刺し、押して前に進んだ。
「右は林間迂回コース。左はコブ斜面」
迂回コースは緩斜面の初心者用、コブは30度近い急斜面。当然上級者。
「下のゲレンデだと他のインストラクターがウジャウジャいる。サボってるのバレると面倒だから、スクール終了時間まではこのロマンスリフトで滑ってて」
「はい」
そして八木橋さんはゴーグル越しに私の足元から頭のてっぺんをゆっくりと舐めるように見ると、突然鼻で笑った。
「まさかその格好で緩斜面はないよな??」
「え?」
「それ、ニューモデルだろ、全部」
「はい」
「その板で初心者コースをボーゲンで滑ったら板が可愛そうだぜ?」
八木橋さんはクスクスと肩を震わせて笑いはじめた。
「形から入るタイプ?」
私は笑われてムッと来た。携帯を壊して申し訳ないと思い、下手に出てたのに、元カノの画像を消しちゃって悪いと思ったのに。それよりも5年勤めた自分へのご褒美の板とウェアを笑われて腹が立った。
「じ、時間までここで滑ってればいいんですよね?」
私はその左のコースに板を向かわせた。ストックを雪面にグサッと刺し、押して前に進んだ。