雪の足跡《Berry's cafe版》
 スクール終了時間になり、麓のレストハウス前まで一緒に下りた。


「お疲れさまでした。これで本日のレッスンは終了になります」
「はい」
「じゃ、明日もここで」
「へ??」


 明日。明日も??


「おい。携帯って今いくらすると思ってるんだよ」


 確かに8000円じゃ無理。それに私が支払った金額がそのまま八木橋さんに流れる訳じゃない。


「あ、日帰りだった?」


 ここで嘘をついてもバレる。板やウェアですぐ私だと分かるから。


「……いえ、連泊です」
「じゃあいいよね、青山ユキさん?」


 どうして私の名前を……。


「えっと、住所はさいたま市浦和区……」


 そう言いながらポケットから紙切れを出した。スクール申込書の写し。


「電話番号は……あ、アドレスもご丁寧に。年齢は27歳」
「ちょ、ちょっとやめて!」


 ゴーグルの中ではきっと馬鹿にしたように笑ってる。


「今日のうちに申し込みしといて」


 八木橋さんはそう言うと、平屋の建物の方へ滑って行った。




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