理系彼女と文系彼氏(旧)
数学馬鹿、と自称できる私が何故、この部に所属して絵を描いているのだろう。

この学校のOBである従姉が

「美術部はサボり放題でいいよー」

なんて言ったせいである。

残念。

本当に残念なことに昨年、顧問が変わりサボりにくくなってしまった。

そして、何故か私に付きまとう月見里 文。

私の数に溺れて過ごす予定だったスクールライフは。

美術部顧問と月見里君によって徹底的に破壊された。

そんな私と彼の出会いは第一回のテスト結果発表の日に遡る。

「理恵。あんた数学が学年トップだったよ。見ておいでよ」

友人の菜穂に背を押され私は結果発表の紙を見に行った。

菜穂の言う通り、数学が学年一位でそれはとっても誇らしいのだけど。

「国語と社会がなぁ……」

苦手な文系の二科目がぼろっぼろ。

辛うじて赤点ではないもののこのままでは不味い。

国語に至っては下から数えないとたどり着けない順位。

国語が比較的得意な理系クラスの子がいたらいいな。

教えてもらえるし。

そう思って成績上位者の方を見たとき彼の名が目に入った。
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