おかしな国のアリス
双子の一人が私の後ろにある扉を開け、もう一人が私の両肩を掴んで後ろを向かせた。
「え…でも…」
「兎なら大丈夫」
「兎ならすぐに追いつくから」
双子がそれぞれ違う言葉を言うのは初めて見た…
「意外と違う事も言うよ。二人で話したりするし、ねえ」
「そうだよ。意外にね。」
…。
そうなんだ…
「へぇー…
…じゃなくて!
なんで?兎を待っちゃいけない?」
扉を開けている一人と、私の後ろにいる一人が目を合わせた。
「早く動いた方がいいんじゃないかな」
「猫は気紛れだし足が早いからね。早くいった方がいいと思って。」
首をかしげて言った。
「大丈夫だよ。それに私、兎が居なくちゃ道がわからないんだよ。」
「…」
「…」
また双子が顔を見合わせる。
「わかったよ」
「わかったよ」

兎が帰って来るまで、私たちは完全に冷めた紅茶を飲みながら座っていた。
「アリスは」
私の目の前に座っている一人が言った。
「兎が好きなの?」
「ぶはっ!」
思わず口に含んでいた紅茶を吹き出した。
「…アリス…汚い」
「…アリス…汚い」
「げほげほっ!…あ、あなたのせいでしょ…!」
私は咳き込みながら言う。
「べ、別に好きってことじゃなくて…ただ、ここで頼れるのは白兎だけだから…」
双子は、ふーんと言ってニヤニヤした。
くっ…信じてない…

そんなやり取り中に、何度か大きな音がしたが…やっと白兎たちが戻ってきた。
顔に小さな切り傷ができていたが…それだけで済んだんだ…
「…ただいま…アリス…」
白兎はげっそりしていた。
精神的にかなりきてるのかな…
「大丈夫…?」
「…ええ、平気ですよ…はは、さあ…猫を追いましょう…」

…大丈夫かな…
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