おかしな国のアリス

◆猫を追いましょう

『猫を追跡いたしましょう…』
きらびやかな真紅のドレスを纏った、青い瞳の女性が言う。
『ですが…』
『早く探しなさい。
…アリスより早く』
スーツ姿の男が、少し戸惑いながらうなずいた。
『仰せのままに…女王様』

壊れた帽子屋さんは、10分位で元に戻った。
「猫さん…」
がっくりとうなだれて、帽子屋さん。
恐る恐る兎が近付く。
「だ…大丈夫ですよ。
きっとすぐに見つかります。」
「…」
帽子屋さんは虚ろな目で兎を見つめる。
「…」
「…」
沈黙。
帽子屋さんの手が、床に突き刺さっているナイフの柄をにぎった。

…やばい。

「アリスアリスごめんなさぁぁい!!ごめんなさぁぁい!!」
ダダダッ!
抜き取ったナイフと、どこから出したのかフォークが数本空を裂いた。
「僕がいけないんです僕がいけないんです」タンタンタン!と壁にいろんな刃物や食器が突き刺さる。
兎は石化した。
「ぼ、帽子屋さん!落ち着い…!?」
「アリス」
「アリス」
ぐいっと腕をひかれる。
双子だった。
「こうなったら逃げるしかないよ」
「こうなったら逃げるしかないよ」
兎は置いていこう、残念だけどね、二人が言って、私たちは部屋を離れた。

「アリス」
「アリス」
お茶会をしていた部屋に戻り、笑顔の仮面を被った双子が私の顔を見る。
「行っておいで」
「行っておいで」
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