たった一つの願いをこめて
「母さんの働いてる姿と、街をほんの少しだけ・・・見に行くだけよ。悪い事じゃないわよね?」

ミリアンには内緒で、ルルはポニーと一緒に街へと行こうとしていました。
ミリアンは牧草地の外へと、ルルを絶対に出してはくれないからです。

ルルは、牧草地の外の世界を知りたくて、知りたくてたまりませんでした。

ルルも、ポニーも、牧草地を一度も離れたことがありません。
でも、出たことがないだけで、街の場所がどこにあるのかぐらいは知っていました。

ルルは肩から提げた小さなポーチにアメ玉を二つ分入れると、ポニーと一緒に街へと向かって歩き出しました。
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