鉄の薔薇姫
レンカはシアを抱き起こし、安堵から涙ぐんだ。
同時に悔恨が胸を埋める。


「申し訳ありません。俺を……助けてあなたは……」


「いや、私の見通しが甘かった」


違う、違うのだ。

レンカは首を振った。
涙が飛び散りシアの頬に落ちる。

守るべきはずが守られて、挙句、彼女を死の危機に晒してしまった。

嫉妬も羨望も愛情も、力なき我が身では何の役にもたたない。


「泣くな、おまえはよくやっていたぞ。初陣とは思えなかった」


シアがレンカの頬を拭おうと手を持ち上げた。

その優しい仕草が余計レンカの心を締め付けた。
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