クリスマスケーキは売れ残るか!?
ハルの好みのタイプに近づこうと努力したことはあった。
けど、どんなに化粧をしても、髪を染めてみても、
鏡に映る自分が、自分ではないようで・・・
偽物を演じてまで、ハルに好かれたいの?
そんな風に思ってしまって、
結局、女子力不足のまま今日まで至ってしまう。
いつも通りに会社に行く。
地味なスーツに身を包んで・・・
どんよりとした空に気持ちまで沈んでしまった。
オフィスの時計を見てため息、
本日、残業決定。
机の片隅に積まれた領収書に伝票。
それを決められた書類に添付して、計算して、
パソコンとにらめっこ
延々と繰り返す作業中、ブーンブーンと機械音が鳴った。
「え?・・・あ、携帯、」
慌てて鞄から携帯を取りだす。
見ればハルからのメールだった。
受信ボックスを開いて内容を読む。
「・・・な、んで?」
件名
まだ会社?
本文
会社の近くにいる。
帰るなら連絡して。
簡潔な文章は相変わらず。
けど、わざわざメールしてこなくても、
もし、私が帰宅途中だったらどうするつもりだったんだろう?
苦笑いして、私はハルに電話をした。