優しいキス

「クリスマスイブに合コンとかなに?」

「私は人数合わせだもん。会費は友達持ちだしテキトーに帰るよ」





冷蔵庫からビールの追加を出す彼の背中にそう答えると。

テーブルの上に置かれた飲みかけのビールを飲み干した。





そういえば。

彼はクリスマス、どうするんだろう。

さっきも聞いたけど、毎年はぐらかされて。

気づけば大晦日、次会うと年明け。

結局わからないままだ。





「ねぇ、明日…どうするの?」





コタツに戻ってきた彼に。

私はもう一度聞いてみた。

私の記憶が確かなら。

彼には彼女がいたはずだ。

すると彼は。





「…家で飲んでる」





たぶん、と付け加えて。

気まずそうに答えた。



< 3 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop