*.遠い恋.*
〔side 佑衣〕

「.........。」
さっきのことを思い出すと、胸が苦しくなっていく。

「泣かない。泣かない。」

私はそう我慢していた。

─トントンッ─

誰かに肩を軽く叩かれた。
振り向くと、カッコ良くて、背が高く、笑顔の男子だった。

誰…?

全然知らない男子が、私に、『隣、座ってもいい?』と言ってきた。
いつもの私だったら、すぐその場から離れるけど、今は、誰かといたかった。
だから、小さく頷いた。
その人はゆっくり、私の隣に座った。

少し、沈黙があり、私がずっと下を向いていたら、何かが私の背中にのった。

『寒いだろ?あげる。』

その人が言った。

私の背中にのっているものは、その人のコートだった。

自分では何か羽織るものは着ていると勘違いをしていたみたい。

とっても暖かかった。

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