* 竜の眠る国 *
「では、行きましょうか」
スッと差し出された手に恐る恐る左手を乗せ、ゆっくり立ち上がった。
「外に出ていいの?
また逃げるかもしれないわよ、私」
部屋に軟禁されること、一週間。
熱が出て、体力が回復するまで外に出れなかったのが、正解だけど。
それでも、何度も逃亡を謀った私を部屋に閉じこめておきたかったのも嘘じゃないと思う。
だって、マーサが忙しくしてると、ナタルが代わりにこの部屋にずっといたから。
……それって、“見張り”って事でしょう?
私の言葉に、マーサは苦笑いを浮かべた。
「……そうね、アナタは本当はこの城を自由に動いてはいけない身。
こんな風に、部屋まで用意されるなんて、有り得ないわ。
でも……王子があなたを抱き抱えてこの部屋を開けた時――誰も、何も言えなかった。
全てを取り仕切る女官長の私でさえも……。
お生まれの時からお世話してきましたが、あんなシオン様を見るのは初めてで……。
だからかしらね。皆でしばし王子の好きなようにさせようと、決めたのは。
シオン様は皆に愛されてますからね」
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