にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 だって小宮さん、下着を盗んで逃げる途中だと思ったんだもん。そのブラジャーは可愛いのはもとより、丼ぶり茶碗ぐらいの大きさがあり、私の極小Aカップブラジャーとはエライ違いだ。

 それにピンクなんて色の下着はここ何年か身につけていない。気づけばベージュや紺、茶色なんかの地味な色が多くなっていたような気がする。


 ……ということは?



 「あ・け・て・く・れ・ま・す?」と口パクで言う小宮さんをどうしても部屋の中に入れることができない私。「ちょっと待っていてください」と言って救急箱をベランダに持ってきて寒空の中、彼の手当をした。


 少しだけ指が彼の手の甲や指先に触れるとまた緊張して震えた。だけどどちらからも口を開くことはなく、ただ、黙々と手当を続ける。


 最近、夜は特に冷える。冷え込んだ夜は星が綺麗だ。上を見上げると降ってきそうなほどに満点の星空に手が止まった。


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