奇跡が降る夜
煌びやかなイルミネーションに赤や緑のクリスマスカラー。


ハロウィンだった街並はすっかりクリスマスモードだけれど、私は浮かれてなんかいられない。


だって、


「神崎、クリスマスケーキの注文入ったよ!」


「はい!」


クリスマスが近づくにつれて、日に日に増えていくケーキの予約数。


パティシエになって4年。


この時期は死ぬほど忙しい。


忙しくてクリスマスなんて楽しむ余裕もないけれど、この仕事が大好きだから不満はない。


まぁ……、


隆司には本当に申し訳ないとは思うけど。

< 2 / 15 >

この作品をシェア

pagetop