奇跡が降る夜
「どう……、ですか?」


オーナーの里見さんが厳しい表情で試作品を口に入れるたびに緊張が走る。


連日連夜、何度作ってもやり直しで、感想を待つ空気が心臓に悪い。


やっぱり……またやり直しなのかなぁ。


「よし、これでいこう」


「……!! あ、ありがとうございます!!」


満足気な里見さんの顔に心底安堵した。


「はぁーー」


「ん? どした?」


「だって、里見さんのダメだしキツイんですもん」


「そりゃ店に出す以上、下手なものは出せねぇからな」


「まぁそうですけど」

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