愛しの太ももサンタちゃん

 北の都市は、イブになるとホワイトクリスマス。
 この頃に積もった雪が、春まで溶けない根雪になる。

 朝は晴れていたのに、夜になって雪が舞う。

 彼が連れてきてくれたのは、北の都市から一時間ほどかかる雪深い小さな町。
 羊蹄山の麓。大きな畑ばかりある白い平原のど真ん中にぽつんとあるレストランだった。

 とても静かなところに連れてこられ、ルカは始終ドキドキしていた。

 いったいなにを考えているんだろう?

「大学時代の友人が、独立してそこに店を持ってるんだ。羊蹄山周辺の農家と契約し、地元素材で料理をしているんだ。今夜の食事はそこに頼んでいる」

「そうでしたか。ご友人が」

 クローズのプレートがかけられてあるが、店内は灯りがついている。
 そのドアを彼が開ける。

 入るなり、コックコートを着た男性が池上さんを見て飛び上がった。

「マジか! ついに来たな!」

 池上さんが顔をしかめる。
 しかも仕事で見せている鋭い目をシェフに見せる。

「余計なこと言うな。帰る」

 来るなり踵を返した池上さんを、シェフが慌てて引き留める。

「わかった、わかった! この雪の中、よく来てくれた。ほら、仕事の後なんだろ。入れよ」

 友人であるシェフが迎え入れると、池上さんも致し方なさそうな素振りで板張りの店内へと足を向ける。

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。どうぞ」

 エプロン姿の奥様がルカを迎え入れてくれた。

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