ご近所恋愛(笑)
「馬鹿でかいトラックってことは、荷物届いてるんじゃねえのか?」


「あ、ああ!そうだ!取りに行ってきます!」


「あ、俺たちも手伝うよ~」


また手伝ってもらうのは申し訳ないが、一人ではどうしようもできないのも事実なので、手伝ってもらうことに。

金原さんには精一杯威嚇してから外に出た。


「すみません、また手伝わせてしまって…」


「レディーが困っていたら助けるのは当然だからな」


「そうそう」


この人達はなんて優しいんだろう。先ほどの金原さん何かとは大違いだ。あんな奴、一緒に住みたくない。

あれがお隣さんだったら地獄だろう。


「あ、そういえば菫ちゃん」


「なんでしょう?」


「菫ちゃんのとなりの部屋って、たしか颯くんだよー」


地獄だった。


「あの…もう一室の隣の方は一体誰なんですか…?」


「ん?えーと、あそこは…」


「遥ちゃんだな」


「あぁ!そうだぁ、遥くんだよ」


「遥?」


どうやら、まだここには住人がいるらしい。今度こそ金原さんみたいな人ではありませんように、と密かに願う。

だが、その希望は呆気なく打ち砕かれた。


「遥ちゃんはまた難儀な奴でな、子猫ちゃんが仲良くできるかどうか…」


「遥くん人見知り激しいし、第一女の子嫌いだからね~」


「はぁ…」


何だか一気に不安になってきた。女嫌い、って大丈夫なのかそれは。

憂鬱になりながら荷物を運ぶ。殆ど家具などで、重い物ばかりだ。一応女である私はそんなに力があるわけではなく、ヨタヨタしながら運んでいた。

だが、運悪くちょっとした小石に躓いて、ぐらりとバランスが崩れる。
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