気になるあの子はまひろちゃん。








気持ちの良い秋晴れの午後。




やっと終わった午前の授業のだるさに伸びをする。


と、レジ袋片手に駆け寄って来たのは、にこにこと子どもっぽい笑顔を満面に浮かべる、祐一。



「涼ー!
 飯食ーべよー!」

「……お前、授業また寝てたろ」

「え。
  涼何でわかんの?エスパー?」



はたまた俺のストーカー!?とふざけだす祐一にむかついたので、

さあね、とはぐらかして答えはお蔵入り。



俺の目線の先の、祐一の頬にくっきりと出来たノートの跡が、授業もろくに聞かず居眠りしていたのを無言で俺に諭しているだけなんだけど。



それでもノートを開いているだけ今日はマシなほうだろう。




「俺飲み物買って来るわ。
 祐一は?
 何かいんの?」



教えろ、とキャンキャン噛み付いて来る祐一の声をぶった切ってそう尋ねると。



「……オレンジジュースっ」



不服そうに唇を尖らして。


それでもいつも通りに少し子どもっぽいリクエストをよこした。



了解と呟いて、サイフから500円玉だけ取り出し席を立つ。




廊下に出てから、ふとまひろちゃんの側の校舎に目が行ったけど、その先の席にはまひろちゃんの姿は無かった。


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