やさしい記憶

 ちょうどイイや





 あたしは

 2人に向き直り

 にっこり、と笑って言う。





「じゃあ、おと~さん、おかぁ~さん、いってきま~す!!」





 ずっと

 言ってみたかったセリフ。





「!!??」





 メチャメチャ

 恥ずかしかったけど



 よかった

 ちゃんと言えた。





 ドアを開けて出ていく時

 後ろから

 朱鳥くんの悲しい声が耳に入った。





「――…おとうさん、……俺、まだ高校生なのに」



「あはは♪」





 フォローなしの

 美里の笑い声がして

 玄関のドアがしまる。





 空を見上げると

 真っ青に晴れたイイ天気。





 今日も暑くなりそう……。





 新しいあたし達の生活が

 始まるには

 最高のお天気だった。















 Fin




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