やさしい記憶

 バカバカ!!

 でも、もう引き下がれない。





『いいよ』





 あたしに携帯ごと渡すと

 イチゴとハートのを選びあげて

 スルッ、と

 レジに並びに行ってしまった。





 えっ!?



 美里のまで?



 ど、どうしよう!!





 あわてて

 レジに並ぶ朱鳥くんを

 追いかけた。





「朱鳥くん!?」





 無言で振り返る

 朱鳥くんは

 ニッ、と意地悪く笑って

 小さくピースサインをしてきた。





「……」





 すでにレジでお釣り待ちの状態になっている。





 困ったな

 なんて言おう……。






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