やさしい記憶

「ありがとうございました♪」





 レジにいるお姉さんに言われて

 朱鳥くんはこっちにくる。



 笑顔で2個のリボンのついた小さな袋を、差し出してくれた。





『……』



「あ、ありがとう……、ごめんなさい」





 彼は首をひねって

 あたしの手から

 自分の携帯を拾い上げる。





『ミッションでしょ?』





 そう、だけど……。



 あたしはぎこちなく

 うなずいた。



 ヤな言い方、しちゃったし……。





『誕生日プレゼント☆(*^∇^*)☆ 美里さんとオソロイだよ!! どう?』





 また、キャラじゃない

 カワイイ絵文字。



 自然と笑顔になるような……。





「……」





 悪い人じゃないんだよね……。



 ただちょっと

 若過ぎ、ってだけで……。





「……」






 あっ、そっか!!





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