婚カチュ。

2  ◇ ◇ ◇

 
一度に1000人を収容できるとはいえ、お昼どきのラウンジはさすがに混み合う。

窓際のテーブル席を確保して弁当を広げていると、キッチンスペースへとランチを買いに行っていた希和子が戻ってきた。
向かいの席に座った彼女は社食のヘルシーセットを選んだらしく、ランチトレーには雑穀米のごはんと味噌汁、それからほうれん草の和え物にメインの豆腐ハンバーグが並んでいる。


「今日はお弁当つくってこなかったんだ?」
 

わたしが訊くと、希和子は面倒そうにため息をついた。


「朝からヒデと喧嘩しちゃってさあ、お弁当なんてつくる気になれなくて」
 

学生時代から付き合っていた彼氏と去年結婚したばかりの希和子は意外にも同棲経験がない。そのためか、結婚後の共同生活ではたびたび衝突が起きるらしい。


「今回はどうしたの」

「些細なことだったんだよぉ。テレビのリモコンをどこに置いたっていうところから始まってさぁ、最終的にはお互いの性格のダメ出し。罵詈雑言の応酬」
 

朝からホント嫌になっちゃう、とつぶやいて和え物の小鉢を手に取る。


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