婚カチュ。


食事を提供しているキッチンスペースはお昼どきともなると長蛇の列ができる。
社員が公平に利用できるよう、キッチンは12時から13時半にかけて部署ごとに利用時間が決められていた。

わたしが所属する営業推進部と希和子が所属する営業企画部はとなりの部署ということもあり、利用時間帯がかぶっている。
そのため、ときどきこうやって待ち合わせをしてはランチをとりながら世間話をしていた。


「朝からケンカって、最悪だよ。1日のはじまりくらい気持ち的に余裕ほしいのにさ。これから仕事ってときに勘弁してほしいよね、もう」
 

艶めく唇を尖らせて希和子は豆腐ハンバーグをきれいに切り取る。
一見すると既婚者とは思えない可愛らしい風貌に、ときおり男性社員の視線が集まっていた。

もしかすると、なかには彼女の離婚を待ち望んでいる不逞の輩もいるかもしれない。
 

希和子にはすこし危ういところがある。
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