@恋。
「…それから、もう1つ」

そう言いながら、光くんはギターケースからギターを取り出した。


「高山さんにお願いがあるんだけど…いい?」

「?…うん、いいよ」

「曲を聴いてほしいんだけど…」

少し緊張した様子で、光くんは言った。


「曲?」

「そう、高山さんのためだけに…作った曲」

少し照れたような、光くんの表情。


初めて見る表情に、胸がドキンと跳ねる。

私のためだけに…作った曲?

ドキドキと、心音が高鳴るのを感じた。


「いい…かな?」

確かめるように聞く光くんに、私が大きく頷くと、光くんは子供みたいな無邪気な笑顔で笑った。


そして深呼吸をし、静かに歌い出す。
< 113 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop