倫敦市の人々
団長を椅子に座らせたまま、容態が安定するのを待つ。

長期間眠り続けていたのだ。

頭痛や記憶の混濁が多少は残る。

だがそれも、少しずつ落ち着いていくだろう。

「団長、気分はどう?何か飲む?」

「いえ…平気よ…有り難うフミ…」

気遣うフミに優しく語り掛ける団長。

「はじめまして団長さん、私達は聖堂騎士団倫敦市花屋支部の者です」

椎奈が自己紹介する。

「悪いけど色々話聞かせてくれよっ、何で眠らされてたんだ?誰にやられたんだ?」

ユヤが一気にまくし立てるのを、ロンがポンチョの裾を咬んで引っ張って窘める。

そんなに一度に訊ねるなと言いたいらしい。

< 262 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop