銀狼と愛犬
「銀鈴!…無用な闘いだと?…コイツは人間に媚び諂う奴だ!…俺達に取っては敵だ」
黒武と呼ばれた黒い狼が、牙を向きその光の主に向かって叫んだ。
吉は、光を背にしていた為、その光の主が気になって仕方がなかった。そして吉はその光を確かめるべく、黒毛の横に身を移したのだ。
しかし…ただ銀色の塊にしか見えなかった吉が、黒毛に尋ねた。
「お前には見えるのか?あの銀色の光の主が…俺には見えない」
恐れより好奇心の方が吉を支配していた為、襲いかかろうとしていた敵(黒武)への警戒を解いた吉であった。
「見えないさ!…だが…あれは銀の狼…銀鈴だ!…」
黒武は、吉がまだ好奇心の強い子供だと思ったのだろう、吉への警戒も薄れていた。
「あなたは、里の守り犬ですね?」
銀色の光は吉に尋ねた。
「そうだ!…林太郎と山に来てはぐれてしまったんだ」
吉は憶する事なく答えたのだ。
その時、黒武率いる狼の群れは、ゆっくりとその場を離れて行った。
「銀鈴に免じて、今日は見逃す…」
黒武が去り際にそう言い残したのだった。
黒武と呼ばれた黒い狼が、牙を向きその光の主に向かって叫んだ。
吉は、光を背にしていた為、その光の主が気になって仕方がなかった。そして吉はその光を確かめるべく、黒毛の横に身を移したのだ。
しかし…ただ銀色の塊にしか見えなかった吉が、黒毛に尋ねた。
「お前には見えるのか?あの銀色の光の主が…俺には見えない」
恐れより好奇心の方が吉を支配していた為、襲いかかろうとしていた敵(黒武)への警戒を解いた吉であった。
「見えないさ!…だが…あれは銀の狼…銀鈴だ!…」
黒武は、吉がまだ好奇心の強い子供だと思ったのだろう、吉への警戒も薄れていた。
「あなたは、里の守り犬ですね?」
銀色の光は吉に尋ねた。
「そうだ!…林太郎と山に来てはぐれてしまったんだ」
吉は憶する事なく答えたのだ。
その時、黒武率いる狼の群れは、ゆっくりとその場を離れて行った。
「銀鈴に免じて、今日は見逃す…」
黒武が去り際にそう言い残したのだった。