Never say Love you
気を落とすことはない。
なぜなら二次会こそが私たちシングルにとっての最高の見せ場であるのだから。
新婦の美樹の相手、新郎はまだ研修医を終えたてのほやほやのドクターだ。
なんということでしょう。
そこにいるのはお医者様だらけではありませんか。
私は裾についたよだれをハンカチという名の三千円もする馬鹿高い布切れで拭う。
よだれにまみれていく自分に少し頬がひきつる。
程よく薄暗い照明の中、壁にかけられたミラーで最終のチェックを怠らない。
飾らないストレートのショートヘアー。
毛穴落ちはない。
食べたくなるような唇、うん、よし。
チーク...少々濃い。
両頬を両手でパチンと数回軽く弾き、舞台へ向かうシンデレラにでもなった気分で高いヒールを履いた足を一歩ずつ前に進める。