旅人の詩




「ほっほっほっ。お兄ちゃん、あんたまだ大丈夫だ。しかしゆっくりしてると本当にこの国から出られなくなっちまうから、すぐに出国しなさい」




「え、それはどう言う……」




「この国にはねぇ、空気中に大量の甘い蜜と花粉が混ざっているんだよ。ほら、あの空をごらん」




老人が指す晴天の空は、確かにこうして見ると薄く霞がかかっているようにも見える。




「この国の空気を長い間体に入れているとね。しまいには外の清浄な空気を受け付けなくなってしまうのさ。この国から出ちまうと、段々息が苦しくなってくる」




「えっ!?ま、まさかそんな……」




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