女装男子VS男装女子。
「な、どうした!?天野!」

「理事長って蓮のお父さんだったのー!?」

あたしはマナーを無視して、理事長にビッと指を突き立てる。


蓮はそれに心底嫌だという顔をして、

「あぁ。認めたくねぇけどな」


と言った。


マジかー!!

驚愕に目を見開いて、蓮と理事長を交互に見る。

そう言われれば、なんとなく似てるかも……


じーっと食い入るように見ていると、蓮が顔を赤くして、


「も、もうイイだろ!」

「あ、うん」

あたしは見るのをやめ、なにどもってるんだと蓮に言いたくなるのを抑える。

だって言ったらめんどくさそうだし?


でも……

「理事長が蓮のお父さんねぇ……なんか分かるかも」

「はぁ!?」

「自分勝手なところとか、そっくりだし」


うんうん、と頷いていると、蓮が「マジかよ……」と言っているのが聞こえる。


マジです。あんたら親子そっくりでーす。


蓮が自分勝手なのは理事長の血だったんだな、と納得した。


「で、そんなことより。理事長はどう落とし前つけてくれるんですか?」


蓮と理事長のやり取りで、少し落ち着きを取り戻したあたしが、目を光らせて理事長に詰め寄る。

「んー、あ!じゃあ女子寮の空き、使っていいよ!今まで授業サボってたのとか、チャラにしてあげるし。あ、でも、これからのはチャラにしないからね」

あたしの考えを見透かしたように付け足した理事長。

「チッ。まぁそれで許してあげる」

授業サボったのもチャラにしてくれるみたいだし。

なんかもう怒るのもめんどくさいし。


まあいいや。


「おーありがとう!今度からはもう何もしないから!こういうことはやめるからね!」

「当たり前だろ、クソ親父」

蓮が呆れたようにツッコミをいれた。

理事長は安心したのか、笑顔で「じゃあね~♪」と手を振って帰って行った。


はあ……一件落着?


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