君が嘘をついた理由。
私の手の冷たさにびっくりして、
起きてくれないかな。なんて思った。
「あ」
ふと、お母さんから視線を上げたところにあるもの。
佐田先生の言っていた通り、陽太だったんだ。
昨日とは違う花が綺麗に飾られていて。泣きたくなった。
まだ、帰ってないはず。
早く、追いかけないと。
追いつかないと。
「また、くるからね」
顔を近づけて、お母さんの耳元でささやく。そして、部屋を後にした。
行き違ってしまったのかな。
もうバスに乗ってしまったのだろうか。
陽太、足は怪我してないもんね。