君が嘘をついた理由。

それこそ、教師と生徒ってことは十分わかってる。だから「ごめん」とでも。

言ってくれるって思ってた。

まさか、無かったことに、流されてしまうなんてさっきまで考えもしなかった。


帰りのバスは行きよりも早く感じて。


降りれば、ちょうど授業の終わる少し前。


……分かってたけどね。言うことは言えた。それで満足なんだ。


好きって言ってこれ以上何を望むんだって感じだよね。


陽太より先に降りた私は、そのまま、陽太を待たずに学校へと向かう。



……と。

「るな、」

小さい声で、呼ばれた私の名前。






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