極上の他人
輝さんへの気持ちをどうにか封印したつもりでいたけれど、まだまだ完全には断ち切れていないようだ。
欲しいものを諦めることには慣れているつもりだったのに。
艶ちゃんと並んで歩きながら、思うようにはいかない自分の気持ちに落ち込んだ。
並んで歩くと言っても、身長差のせいか歩く歩幅もかなり違う。
自分のペースで歩く艶ちゃんから離れないように少し小走りでついて歩く。
地面をけるハイヒールの音って格好いいなあと思いながら、そっと艶ちゃんを見上げた。
いつも自信ありげな艶ちゃんが羨ましい。
すると、艶ちゃんがちらりと私に視線を落とし、口元を上げた。
「私に見惚れてた?」
「え?……な、なんで?」
見惚れる……というよりも、羨望のまなざしを向けていたというのが正しいと思うけれど、どうして気づいたんだろ。
艶ちゃんは呆れたように笑った。
「私の身長が羨ましいんだろうけど見惚れることなんてないのに。もちろん私はこの身長が気に入ってるけどさ、もし私がふみちゃんのように150cmそこそこの身長だったとしてもそれはそれで気に入ってると思うよ」
「嘘だ。もし私みたいに背が低かったら、大きくなりたいって切実に思うはずだもん」
「……ふみちゃん、切実なの?」
「え、あ、ううん、そんなこともないけど」