極上の他人


「だろ?輝さんが昨日から下ごしらえしていた力作なんだから、それ食べて、輝さんの言う事を聞いていた方がいいよ。
輝さんはただでさえ忙しいんだから、な」

「うん……」

ベーコンの味がうまく染み渡っているスープと、キャベツがとろとろになっているロールキャベツをゆっくりと食べながら、自分の今の状況にため息をついた。

夕食、遠慮したはずなのにな。

けれど、それを許してくれない輝さんの真意がわからなくて、黙々と食べる。

温かくておいしいロールキャベツに込められた輝さんの優しさを感じながら。


< 188 / 460 >

この作品をシェア

pagetop