極上の他人


そう思いながらも何も言えずに二人を見ていると、その親しげな様子に気づいた。

そう言えば、メールのやり取りをしていると言っていたっけ。

メールでどんな話をしているのかわからないけれど、私の知らないところで二人の距離が近づいているように見えて、不安を感じた。

輝さんが誰と言葉を交わそうが親しくしようが私には何も言えないけれど、こうして目の前で私以外の女性と仲良くしている姿を見ると、やっぱり苦しい。

片思いしている相手の笑顔の理由が私以外の女性だなんて、切ない。

こうして輝さんと艶ちゃんが並んでいると、美男美女でお似合いだと実感して思わず目をそらしてしまう。

この前、輝さんが恋人らしい人とお店の外に出て行った時には、女性の後ろ姿しか見えなかった。

そのせいか、輝さんが私以外の女性を大切にしているとわかっても、今ほど痛い思いはなかった。

けれど。

くすくすと笑いながら話す輝さんと艶ちゃん。

私以外の女性にも、優しい表情と言葉で接する輝さんを見ながら、思いがけない気持ちが自分の中に生まれたのを感じて、戸惑った。

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