極上の他人
思わず顔をしかめた私に、亜実さんは呆れたような視線を向けた。
「たまに落ち込むなら、それが悪いとは思わないけど、行き過ぎると落ち込まなくていいことまで落ち込むからね。そのバランスが大切。……というわけで、今日の仕事はここまでにして、私に付き合いなさい」
「え?ど、どこに?」
突然の言葉に戸惑いながらも、はっと思いついたのは、亜実さん主催のコンパだ。
まさか、一人足りないから急きょ参加しろ、ではないだろうか?
今の私は、とてもじゃないけどそんな気持ちにはなれない。
「えっと、コンパなら、他をあたってください」
焦り気味の声でそう呟くと、亜実さんはくすくす笑い、首を横に振った。
「違うわよ。私の誘いがいつもコンパやお見合いってわけじゃないんだからね」
「あ、そ、そうですよね……」
「そうよー。まあ、確かにそういう機会が多い事は否定しないけどね。でも、今日は違うのよ。ちょっと協力してほしいことがあるから、うちに来て欲しいの」
「亜実さんの、お宅、ですか?」
「そう。うちに来て、葉乃のためにビデオに向かってお祝いメッセージを言って欲しいのよ」
「お祝いメッセージって、どういうことですか?」